八坂庚申堂【やさかこうしんどう】(京都府京都市東山区金園町)

境内入り口

境内入り口




融通尊堂とくくり猿

扁額に「融通尊」と書かれたお堂には、くくり猿がいっぱい
くくり猿とは、猿の手足をくくり付けた縫いぐるみで、「人間の中にある欲望をくくりつけるお守り」とか
「動きまわる心をくくりつけ、心をコントロールしてくれるお守り」とかいわれているようです。

くくり猿

(こちらは、奈良市の奈良町にあった巨大くくり猿)




庚申堂とくくり猿

庚申堂にもくくり猿がいっぱい
本尊として青面金剛がお祀りされている




庚申堂とくくり猿

庚申堂にもくくり猿がいっぱい




くくり猿と三猿

くくり猿 & 三猿(見猿・聞か猿・言わ猿)
『論語』に「非礼勿視、非礼勿聴、非礼勿言、 非礼勿動」(礼にあらざれば視るなかれ、礼にあらざれば聴くなかれ、礼にあらざれば言うなかれ、礼にあらざればおこなうなかれ)という一節があるそうだ。( Wikipedia)(「見ざる・聞かざる・言わざる」だけだと、なんだか事なかれ主義のように感じるが。)




言わ猿
見ざ猿・言わ猿言わ猿・聞か猿

見猿・聞か猿・言わ猿【みざる・いわざる・きかざる】

庚申思想
十干【じっかん】と十二支を組み合わせた暦法(六十干支、十干十二支、六十花甲子などと言われているようです)の60日ごとに巡ってくる庚申の夜に、三尸【さんし】という虫が睡眠中に身体から抜け出て天帝にその罪過を報じ、罪過の軽重によって生命を天帝により短縮される(道教の説)という信仰がある。だから、庚申の夜は眠らずに(眠らないと三尸が身体から抜け出せない)慎む。これを庚申待【こうしんまち】という。三尸の虫とは上尸・中尸・下尸をいう。上尸は人の頭におり、眼を暗くし面皴をたたみ、髪の色を白くするという。中尸は腸【はらわた】のなかにいて、五臓を損なって悪夢を見させ飲食を好むという。下尸は足にいて、命を奪い精を悩ますという。庚申の日に徹夜して三尸の名を唱えれば、禍を変じて福となすことができるとされている。この中国の風習は、中世のころ日本に伝わり、貴族社会で強く信仰された。
菅原道真(837〜903)の『菅家文集』【かんけもんじゅう】の中に「守庚申」【まもりこうしん】の詩があるという。その中に三尸【さんし】の語が使用されている。
『日本紀略』【にほんきりゃく】後編の朱雀天皇、天慶【てんぎょう】二年(939)八月二十二日庚申の条に「内裏に庚申の御遊びあり、侍臣は和歌を献ず」とある。
『本朝文粋』【ほんちょうもんずい】巻十一にある、村上天皇(947〜967)に仕えて図書頭【ずしょのかみ】となった藤原篤成の「冬夜に庚申を守り、同じく修竹冬青しというを賦し、教に応ず」と題する詩に「それ庚申を守るというは、玄元聖祖の微言なり。世、その余波を掲げ、人、その遺跡を伝う。或は此の夜に至り、眠らずして明に達す」とある。
庚申待【こうしんまち】は平安時代から鎌倉時代までは、もっぱら貴族社会のなかだけで行われていたが、中世末からしだいに庶民の間に浸透し、江戸時代には全国的に広まっていった。庚申待の供養塔を建てることは室町時代末期から流行し始め全国津々浦々にまで建てられるようになる。
(以上は『図説民俗探訪事典』山川出版社、『日本の神様読み解き事典』柏書房、『道教』第三巻「道教の伝来」平川出版社による。)


十干十二支(国立天文台暦計算室用語解説による)
十干:甲【コウ・きのえ】、乙【オツ・きのと】、丙【ヘイひのえ】、丁【テイ・ひのと】、戊【ボ・つちのえ】、己【キ・つちのと】、庚【コウ・かのえ】、辛【シン・かのと】、壬【ジン・みずのえ】、癸【キ・みずのと】
十二支:子【シ・ね】、丑【チュウ・うし】、寅【イン・とら】、卯【ボウ・う】、辰【シン・たつ】、巳【シ・み】、午【ゴ・うま】、未【ビ・ひつじ】、申【シン・さる】酉【ユウ・とり】、戌【ジュツ・いぬ】、亥【ガイ・い】

十干十二支表

「きのえ」とか「みずのと」とかは、十干と、陰陽二気から生じた五気(土気・木気・火気・金気・水気)が結びついたものである。
さらに五気はそれぞれ兄【え】と弟【と】の陰陽に分かれる。
生まれてから60年(十と十二の最小公倍数)を経て、生年の干支を迎えるのを還暦とする。
六十の干支の組み合わせを一巡することは、一つの人生を生き切ったことを意味し、新たに次の人生に誕生するというわけで、
赤子と同様に赤い頭巾・赤いちゃんちゃんこを着用する風習がある。(『十二支』吉野裕子著 人文書院による)


八坂庚申堂の正式名称は、大黒山延命院金剛寺といいます。お寺さんです。
「神社参拝記【かみのやしろさんぱいき】に、なぜお寺さんをアップするんや!」と突っ込まれそうですが、一般に「庚申さん」と呼ばれているのは、守庚申【しゅこうしん】(のちに庚申待【こうしんまち】とよばれる)が神格化したものです。道教の庚申信仰が日本で、仏教においては密教の奉ずる青面金剛と習合し、神道においては猿田彦命(庚申の申と猿のつながりから?)・道祖神・塞ノ神と習合している。また三尸虫【さんしちゅう】が罪過を報告にいく道教の天帝は、仏教では帝釈天に仮借し、帝釈天の神使は猿、庚申の申をさると読むことから、三猿が結びついたようです。『日本の神様読み解き事典』にも「庚申 身体の守護神」として解説されています。



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写真:2019.04撮影
home   更新:− 作成:2019.07.14