飛鳥川上坐宇須多伎比賣命神社【あすかかわかみにますうすたきひめのみこと】(奈良県高市郡明日香村稲渕)

社名標 参道入り口

参道入り口
名前の長さに負けない長い登り。石段は190段あるという。
前を飛鳥川が流れる。

この神社に初めて参拝したのは、私が神社巡りを始めた初期の頃だった。神社の名称に強く引かれた。
とにかく長い名(私が参拝した神社の中では、現時点で一番長い)、「坐」【います】という語が当時新鮮だったこと、神の名を冠する神社、「比賣」とあるから女神様、等々。




社殿

長い登りの参道終点近く、社殿が見えてきた




社殿

中央の大きな社殿は拝殿、左右に摂末社、背後の宮山が神体山で、神奈備山として信仰されてきた。大神神社と同様の形式である。




拝殿

拝殿




聖域

鳥居後ろは聖域だ。
宇須多伎比賣命とは渦滝媛命で、水の女神と考えられる。

皇極紀元年(642年)のこと、雨乞いのため、祝部【はふりべ】の教えに従い牛馬を殺して生贄とし神に祈ったが効果が無かったので、七月二十七日、蘇我蝦夷が百済大寺で仏式による雨乞いを行う。しかし、これは小雨に終わった。同年八月一日、皇極天皇が雨乞いを行っている。「天皇、南淵【みなぶち】の河上に幸【いでま】して、跪【ひざまづ】きて四方【よも】を拝む。天を仰ぎて祈【こ】ひたまふ。即ち雷なりて大雨ふる。遂に雨ふること五日。あまねく天下を潤す。」(日本書紀)とある。皇極天皇が雨乞いをした場所「南淵の河上」とは、当神社の可能性が高いとのこと。(NHKのドラマで、高島礼子さんが皇極天皇に扮し、雨乞いをされていましたね。)




拝殿左手の摂末社 拝殿右手の摂末社

拝殿左手の摂末社

拝殿右手の摂末社

『日本の神々4』に、「左右に八幡神社・神功皇后社を配祀」とある。左の社殿には美しい彩色がされており、こちらが神功皇后社だろうかなどと勝手な想像をしております。




男綱 女綱

勧請縄の男綱(稲渕)
宇須多伎比賣命神社の川下に当たる位置にある

勧請縄の女綱(栢森)
宇須多伎比賣命神社の川上に当たる位置にある



福石 掲示

「栢森の綱掛神事」
綱掛神事は、栢森と稲渕両大字に伝わる神事で、毎年正月11日に行われる。カンジョ掛神事ともいう。
子孫繁栄と五穀豊穣を祈るとともに、悪疫などこの道と川を通って進入するものを押し止め、住民を守護するための神事といわれている。
栢森大字の神事の特徴は、全体を仏式で行うことである。福石(陰物ともいう。)と呼ばれる石の上に祭壇を設け、僧侶の法要の後、飛鳥川の上に陰物を形どった「女綱」を掛け渡す。一方、飛鳥川下流の稲渕大字の神事は神式で行うことが特徴で、「男綱」を飛鳥川に掛け渡しをする。
      明日香村大字栢森です


福石(栢森)
飛鳥川右岸、女綱横にある


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home    作成:2009.01.19