天皇神社【てんのう】(奈良県天理市備前町)
境内入り口
拝殿
本殿(扉周辺の透かし彫りが美しい)
境内掲示
天皇神社(本殿 重要文化財)
旧備前庄【びぜんのしょう】の鎮守で、天皇とは牛頭天王【ごずてんのう】の意味で素盞鳴尊【すさのおのみこと】を祀っている。文永九年(1272)の創始と伝えられ、今の本殿は周防国【すおうのくに】上野寺の住侶頼秀【じゅうりょよりひで】が諸国巡歴中、本社に参拝し、社殿の荒廃を悲しみ、応永三年(1396)六月自ら願主となって、藤井一家【いっか】の大工を催促して造立したもので、その棟札が残されている。
この本殿は一間社春日造の屋根檜皮葺きで、室町時代初期の特徴をよくたもっている。中世以降に建てられた春日造の社殿は県下において少なくないが、そのなかでも優作の一つに数えられる。大正四年(1915)三月に国宝に指定され、昭和二十五年重要文化財に指定されている。本社の例祭は十月十一日である。
殿内に薬師如来、大梵天、牛頭天王、天満天神の各木像を奉安している。境内には菅原神社、厳島神社、塞神神社【さいのかみじんじゃ】がある。
天理市教育委員会
塞神神社 |
塞神神社左手の燈籠には 「牛頭天皇社石燈籠」の文字 |
菅原神社 |
厳島神社 |
歴代天皇をお祀りする神社以外で、天皇又は天王の名が社名に入る神社は珍しい。明治初期、神仏分離令により牛頭天王は排除の対象とされた。祇園精舎(釈迦が説法を行った場所)の守護神とされた牛頭天王は、仏教色が強いこともあるが、天王(天皇)という文字が歴代天皇と重複することにより、強い排除の対象とされたという。
医学の遅れていた時代、牛頭天王は疫病退散の神として人気があったと想像する。
写真:2018.05撮影
home 作成:2018.07.12