金峯神社【きんぷ】(奈良県吉野郡吉野町吉野山青根ヶ嶺)

白木鳥居に稚児柱がついた珍しい鳥居

白木鳥居に稚児柱が付いた
珍しい鳥居
金峯神社の鳥居

稚児柱をとれば白木鳥居(神明鳥居のカテゴリー)


参道入り口の鳥居
ここから300mほど登ると境内に至る



金峯神社 境内掲示(鳥居右手)

金峯神社【きんぷじんじゃ】と隠れ塔

 この神社は金山彦命【かなやまひこのみこと】を祭る吉野山の総地主の神で、一名金精明神【こんしょうみょうじん】ともいって古くから信仰を受けてきた延喜式内社です。
 金峯というのは、この辺りから大峯山へかけての総称で、古来地下に黄金の鉱脈があると信ぜられて、宇治拾遺物語その他にも、この山に登って黄金を得たという話があります。これは仏教説話として、金峯山は黄金浄土であるという観念から生まれたものです。
 左の小道を下った所にある建物は、隠れ塔といって、ここは大峯修業場の一つで、この塔に入って扉を閉じると中は真っ暗になります。そこで神官の先導に従って
   吉野なる深山の奥のかくれ塔
         本来空のすみかなりけり
と唱えながら塔内を巡ります。
 文治元年(1185年)十一月、源義経がこの塔に隠れ、追っ手から逃れるため屋根を蹴破って外へ出たため、「義経の隠れ塔、蹴抜けの塔」とも言われています。
  吉野町観光課



金峯神社拝殿

拝殿




金峯神社拝殿

拝殿より本殿方向を見る。階段の上に本殿がある。 が、見えない。




金峯神社本殿

本殿




大峰奥駆道

木々の奥に金峯神社の拝殿がある
大峰奥駆道

山上ヶ岳に至る登り道。
(石畳はこの先までです。山上ヶ岳まで続いておりません。あたりまえか。)

逆に下れば、吉野水分神社を経て蔵王堂に至る。

吉野川河岸から熊野に至る修験の道は、奥駆道と言われている。真言宗系の修験が吉野から熊野へ向かうのに対して、天台宗系は熊野から吉野へ向かったそうだ。前者を逆峯【ぎゃくぶ】、後者を順峯【じゅんぶ】と呼ぶ。熊野始点を順峯というのは役行者が熊野からスタートしたことによるという。中世以降逆峯が一般的となった。熊野の他界イメージと重なって吉野から熊野への方向性がイメージされたと考えられる。当社及び背後にある青根ヶ峯(857m)を含め、周辺一帯は修験道の精進潔斎地として栄えた。吉野川河岸から青根ヶ峯に至る尾根筋を吉野山と呼び、さらに奥のずっと奥の山上ヶ岳(1719m)までを金峯山【きんぷせん】と呼んだ。中学時代の林間学校といえば「大峰登山」だった。この場合男子は、洞川【どろがわ】から女人結果を越えて山上ヶ岳に登った。私のイメージする大峰山は、山上ヶ岳を中心とした山脈という程度だが、大峰奥駆道という言葉がある通り、熊野・玉置山から吉野山・吉野川河岸までを大峰山と言うとのこと。ただ、熊野・玉置山から山上ヶ岳までを大峰山、山上ヶ岳から吉野山・吉野川河岸までを金峯山とする本もある。なにぶん歴史のある山であり道である。時代と共に変遷もしたであろう。縄張り意識が、表現の異なる古文書を残したのかもしれない。



隠れ塔

隠れ塔




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home   作成:2009.11.09