住吉大社【すみよし】(大阪市住吉区住吉)

燈籠 南海住吉大社駅から住吉大社へ向かう道には、灯籠が並んで立っていた。その灯籠に関する掲示があった。

住友燈籠の記
 古くからこの地を長峡【ながお】と称し、海辺へ続くこの道は汐掛道と呼ばれていた。
 ここに並ぶ十四基の燈籠を始め、公園内の住友家の燈籠は、江戸時代から昭和初年にかけ、住吉大社正面参道である汐掛道に添って代々奉献されてきたものである。
 江戸時代の大阪は日本における銅精錬・銅貿易の中心地であり、その中核をなしたのが住友家であった。銅は主に伊予(愛媛県)の別子銅山から海路運ばれ、大阪で精錬され、日本の経済を支えてきた。
 この燈籠も海上安全と家業の繁栄を願って寄進されたが、長い年月を経て、一部は移築され、また周辺の道路事情も変わったため、地元住民の意向を受け、新たな考証に基づきここに年代順に移転再配置した。
 天下の台所「大阪」を偲ぶ貴重な歴史遺産として、今後とも長く守り伝えて行かなければならない。

平成六年六月
財団法人 住吉名勝保存会



境内入り口

境内入り口
一の鳥居の奥に反橋【そりばし】が見える




巨ぢな燈籠

巨大な燈籠
反橋

反橋【そりばし】
反橋は、神が渡る橋であった。
今では誰でも渡ることが出来るし、渡ること自体がお祓いになるという。
現在海岸線は5km以上西方にさがっているが、
昔はこの橋の近くまで波が打ち寄せていたという。



幸壽門

住吉鳥居をくぐり幸壽門前から第三本殿の拝殿を望む




住吉大社の配置
(GooGle Earth より)

反橋、幸壽門、第三殿、第二殿、第一殿が一直線上に並んでいる。『住吉信仰』(朱鷺書房)で真弓常忠氏は、「四艘の箱船が西の海に向かってピタッと並んで進んで行く状を思わせます。まさにそんな四艘一組で渡航し、「四つの船」ともよばれた遣唐船の姿そのものではなかったでしょうか。じつは遣唐船が「四つの船」とされたのは、住吉四宮の数をふまえていたのかもしれません。命がけの渡航であっただけに、海上の無事を祈る心が、船の数さえも住吉四宮に合わせることになったとは十分考えられることです。」と述べておられます。

祭神
第一殿 底筒男命【そこつつのおのみこと】
第二殿 中筒男命【なかつつのおのみこと】
第三殿 表筒男命【うわつつのおのみこと】
第四殿 息長足姫命(神功皇后)【おきながたらしひめのみこと(じんぐうこうごう)】

筒男三神の誕生(古事記より)
火之迦具土神【ほのかぐちのかみ】を生んだことが原因で亡くなった妻の伊邪那美命【いざなみのみこと】に再会したく思い、黄泉【よみ】の国に出向いた伊邪那岐命【いざなぎのみこと】だったが、妻の変わり果てた姿に恐れをなし逃げ帰った。黄泉の国のけがれを祓うために、筑紫の日向【ひむか】の橘【たちばな】の阿波岐原【あわぎはら】でみそぎを行う。身に付けていたものを投げ捨てるたびに神が生まれた。(計十二柱)黄泉の国の汚れを洗うとその汚れから二柱の神がうまれた。それらの神はわざわいの神だったので、わざわいを直すためにさらに三柱の神が生まれる。そしていよいよ海底で禊ぎ【みそぎ】を行った時に生まれたのが底津綿津見神【そこつわたつみのかみ】、次に底筒男命【そこつつのおのみこと】が生まれた。海中で禊ぎを行った時に生まれたのが中津綿津見神【なかつわたつみのかみ】、次に中筒男命【なかつつのおのみこと】、海面で禊ぎを行った時には、上津綿津見神【うわつわたつみのかみ】、次に上筒男命【うわつつのおのみこと】が生まれた。綿津見三神は阿曇連【あづみのむらじ】たちが祖先神としてお祭りしている神であり、筒男三神は墨江【すみのえ】(住吉大社)にお祭りされている大神である。

第四殿の祭神息長足姫命について
仲哀天皇の后であり、応神天皇の母である。筒男三神に導かれ新羅遠征を成功させたと記紀にある。『既にして神の誨【おし】ふること有りて曰はく、「和魂は王身【」みみ】に服【したが】ひて壽命【みいのち】を守らむ。荒魂は先鋒【さき】として師船【いくさのふね】を導かむ」とのたまふ。・・・・・即ち荒魂をヒ【お】ぎたまひて、軍の先鋒とし、和魂を請【ね】ぎて、王船の鎮としたまふ。』(『日本書紀』神功皇后摂政前期)
息長足姫命は帰還して、筒男三神の荒魂を「穴門の山田邑」(長門国豊浦郡住吉坐荒御魂神社)に祭らしめられ、筒男三神の和魂を大津渟中倉長峡【おおつのぬなくらのながお】に祭らしめられた。この地こそが今の住吉である。

真弓常忠氏は、筒男命の「筒」について、津々浦々の「津々」で、対馬の港々の長神【おさがみ】がツツノオの神だったのではないか、と書かれている。その他、「つつ」とは星の意味。星を頼りに航海したからという説、底・中・表に助詞の「の」にあたる「ツ」+津の男の命、すなわち「津(港)を司る長神とする説、対馬の南端「豆酘」【つつ】の長の奉じた神、「豆酘」の男の命とする説、船の帆柱の底部に船霊を納める筒により、筒の男の命とする説などがある。




住吉造の本殿




住吉造の本殿




住吉造の本殿

住吉造の本殿。美しい!
第一本殿から第三本殿まで千木は垂直に切られているが、第四本殿のみ水平に切られている。



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home   作成:2010.02.01