美波多神社【みはた】(三重県名張市新田)

参道入り口

参道入り口
笠木木口

笠木の木口が五角形

神明鳥居の様だが笠木に反り増しがある珍しい鳥居だ。
木口【きくち・こぐち】が五角形になっており、伊勢鳥居の特徴を持っている。




拝殿

拝殿
参道もそうだが、境内も非常に明るい。これは1998年の台風7号の被害によるもので、
私自身も、奈良県や三重県伊賀地方の大きな木が軒並み倒れていいるのを目撃した。

台風7号による美波多神社の被害状況を記録した写真が展示されていた。




本殿 祭神

 天照大御神【あまてらすおおみかみ】
 応神天皇【おうじんてんのう】
 天児屋根命【あめのこやねのみこと】
 加納直盛公【かのうなおもりこう】
 大山祗神【おおやまづみのかみ】
 宇迦能御魂命【うかのみたまのみこと】
 火之迦具土神【ほのかぐつちのかみ】
 大物主神【おおものぬしのかみ】
 建速須佐之男神【たけはやすさのおのかみ】
 天手力男之命【あめのたちからおのみこと】
 五男三女神【ごなんさんにょのかみ】
 菊理比売神【きくりひめのかみ】
 大綿津見神【おおわたつみのかみ】
 菅原道真公【すがわらみちざねこう】
 国津大神【くにつのおおかみ】

 承応年間(17世紀中葉)頃新田の開発が行われており、建村と同時に創建されたと考えられる三柱神社(祭神:天照大御神、応神天皇、天児屋根命)が母体となっております。明治40年11月10日、新田区内の全神社を合祀して大御原神社と改称されました。さらに明治42年3月15日、東田原村社九頭神社、中村村社国津神社、上小波田村社福田神社を合祀して現称の美波多神社となりました。

旧三柱神社社殿


旧三柱神社社殿。奥に本殿。
三柱神社に新田区内の以下の神社が合祀され大御原神社となりました。
   加納神社  本社境内社
   山神社   本社境内社
 愛宕神社   字水門
 山神社    字一ノ井
 八幡神社   字一ノ井
   山神社   境内社
 愛宕神社   字観音広
   津島神社  境内社
 山神社    字娘塚
 愛宕神社   字大間口
 稲荷神社   字角屋
   愛宕神社  境内社
 金刀比羅神社 字角屋
   津島神社  境内社
 山神社    字前田
 愛宕神社   字愛宕
   津島神社  境内社
 山神社    字長尾
 山神社    字黒坊



雨乞石

旧三柱神社社殿のそばにある雨乞石


掲示
雨乞石
日照りが続くと近くの田んぼ(池)に、この石を沈め焚火をして雨乞い神事を行い、天からの恵みの雨と豊作を祈った。


明治40年12月10日、大御原神社に合祀される前の九頭神社に以下の神社が合祀されております。
   八幡神社  本社境内社
   愛宕神社  本社境内社
   津島神社  本社境内社
   菅原神社  本社境内社
   神明神社  本社境内社
 山神社    字界外浦
 山神社    字和田
 金刀比羅神社 字界外浦
 津島神社   字管生谷
 山神社    字管生谷
 山神社    字北出
 山神社    字向江
 市杵島神社  字界外浦

明治40年12月20日、大御原神社に合祀される前の国津神社に以下の神社が合祀されております。
   津島神社  本社境内社
   稲荷神社  本社境内社
 山神社    字向江
 山神社    字北西原
 愛宕神社   字田浦
 金刀比羅神社 字田浦
 山神社    字宮ノ前



旧福田神社跡地 大御原神社に合祀される前の福田神社に以下の神社が合祀されております。
   神明神社  本社境内社
   八柱神社  本社境内社
 市杵島神社  字鎌井
 津島神社   字鎌井
 山神社    字宇曽田
 金刀比羅神社 字赤井
 白山神社   字赤井
 山神社    字垣内
 山神社(二社)字井ノ口
 津島神社   下小波田





← 上小波田にある福田神社跡地
    (現 観阿弥ふるさと公園)

   ← 福田神社のあった位置


以上の様に、広範囲(美濃波多村五大字)にあった沢山の神社が次々に合祀を重ね、一社に集約されて美波多神社となった。伊賀地区の神社に参拝すると、一つの神社に沢山の神様がお祀りされていることを知る。これらの神社もまた、合祀を重ねた結果である。合祀は、明治維新以降、「国家の宗祀にふさわしい神社設備、列格、地方団体における位置づけ等を含めて神社をあるべきものにする」という理由で、政府主導により全国規模で進められた。ただ、府県での取り組みに温度差があったようだ。三重県の場合、神社整理のモデルケースと目され強行に押し進められた。ここでの合祀とは、簡単に言えば神社の数を減らす事を目的としており、一町村一社にすべく「神社のあるべき姿」の基準をもうけ、基準に適合しない神社は合祀の対象とされた。三重県の場合、必要施設として本殿、拝殿、鳥居を挙げ、各施設の坪数、境内の坪数の基準を設けている。また、社格(県社・郷社・村社・無格社)別に神社の財産・年収の基準も設けている。結果、郷社・村社は37%、境外無格社は2%に激減した。全国でトップだ。

府県別神社増減表(『日本帝国統計年鑑』による)

府県名 国弊社以上 府県郷村社 境外無格社 神職数
明31 大5 明31 大5 指数 明31 大5 指数 明31 大5 指数
北海道 2 2 278 245 88 229 168 73 70 152 217
青 森 1 1 778 756 97 60 50 83 171 158 92
岩 手 1 1 492 472 96 731 529 72 245 250 102
秋 田 1 1 726 629 87 4106 737 18 407 336 83
山 形 4 5 1066 970 91 2187 1445 66 560 485 87
宮 城 2 2 948 693 73 1727 630 36 348 284 82
福 島 4 4 1215 1198 99 3345 3002 90 517 469 91
新 潟 2 2 635 589 93 7788 4978 64 676 617 91
東 京 3 2 676 682 101 1841 1216 66 345 366 106
神奈川 3 3 811 758 93 1809 673 37 215 205 95
埼 玉 2 2 1927 1502 78 5428 920 17 554 453 82
千 葉 4 4 2377 2201 93 4398 2712 62 253 292 115
茨 城 4 4 1682 1613 96 2716 1229 45 453 350 77
栃 木 4 4 1167 1120 96 5026 2371 47 348 276 79
群 馬 1 1 1106 871 79 2943 477 16 213 195 92
長 野 2 3 2060 1713 83 4920 1742 35 338 366 108
山 梨 1 1 1015 984 97 799 672 84 142 164 115
静 岡 8 8 1844 1779 96 2223 1694 76 495 469 95
愛 知 3 3 2700 2568 95 2378 1194 50 729 445 61
三 重 3 4 1735 647 37 5099 96 2 319 471 148
岐 阜 2 2 2504 2318 93 4242 2911 69 192 206 107
滋 賀 3 3 1033 1015 98 1870 937 50 278 293 105
福 井 4 4 1637 1353 83 1201 397 33 134 161 120
石 川 3 4 1900 1652 87 1007 278 28 177 193 109
富 山 1 1 2428 2243 92 1363 842 62 149 146 98
京 都 20 20 1109 1095 99 1867 1607 86 317 343 108
大 阪 7 7 1390 595 43 505 76 15 220 355 161
奈 良 10 10 1191 1101 92 688 447 65 216 275 127
和歌山 5 6 685 381 56 3103 165 5 202 222 110
兵 庫 8 8 2263 2113 93 5149 2804 54 547 386 71
岡 山 3 3 1673 1342 80 7560 3979 53 690 512 74
広 島 2 2 1074 976 91 8598 4493 52 412 401 97
山 口 4 6 440 392 89 2182 482 22 521 359 69
島 根 6 7 1179 957 81 2114 546 26 530 481 91
鳥 取 3 3 761 623 82 851 404 47 261 235 90
徳 島 2 2 757 743 98 3407 2335 69 238 265 111
香 川 2 2 328 332 101 3125 2248 72 158 171 108
愛 媛 1 1 999 838 84 4380 560 13 400 438 110
高 知 1 1 1547 1489 96 4560 3294 72 389 327 84
長 崎 3 3 428 430 100 1219 1133 93 218 226 104
佐 賀 1 1 278 277 100 3281 1821 56 186 170 91
福 岡 7 8 1711 1652 97 6092 4528 74 467 425 91
熊 本 3 4 1068 1048 98 3546 3323 94 271 257 95
大 分 2 3 1576 1369 87 1696 779 46 411 363 88
宮 崎 3 3 521 488 94 355 260 73 247 268 109
鹿児島 5 5 655 521 80 1645 1027 62 429 331 77
総 計 166 176 56373 49333 88 135359 68211 50 15658 14612 93

三重県の神職数には神宮の神官数を含めていない
指数:明治31年を100とした場合の、大正5年におけるもの

美波多神社の合祀に関しては『名張の歴史』(中貞夫著)、その他合祀に関しては『蘇るムラの神々』(櫻井治男著)によります。

美波多神社の地図 ←地図  

写真:2022.05、2005.09、2004.8撮影
home   更新:2022.05.03d 作成:2005.10.15