桃尾の滝【もものおのたき】(奈良県天理市滝本町)

全体イメージ

駐車場より滝方向を見る




桃尾の滝

桃尾の滝
(瀑布の背後に不動明王のレリーフが見える)

掲示
 桃尾【もものお】の滝は、布留川【ふるがわ】の上流桃尾山【もものおさん】にあり、高さ約二十三m、大和高原の西端を南北に走る春日断層崖【かすがだんそうがい】の中では最大の滝です。
 このあたりは、かつて桃尾山蓮華王院龍福寺【もものおさんれんげおういんりゅうふくじ】の境内地でした。和銅年間、義淵【ぎえん】によって開かれた龍福寺は、中世には寺領五百石を有する真言密教の大道場として栄えましたが、明治に入って廃絶し、かつての阿弥陀堂跡には現在報親教大親寺【ほうしんきょうだいしんじ】の堂が建っています。
「布留【ふる】の滝」として古い和歌集にも詠まれた桃尾の滝は、古くから行場として知られ、7月第3日曜日には、夏の安全を祈願して「滝開き」の神事が行われます。

   今はまた 行きても見ばや 石【いそ】の上【かみ】
      ふるの滝津瀬【たきつせ】 跡をたづねて
                   (後嵯峨天皇)
天理市



掲示
ここ桃尾【ももお】の瀧【たき】は
日本唯一最古【ゆいいつさいこ】の歴史【れきし】ある大霊山奥の院【だいれいざんおくのいん】の身禊の瀧【みそぎのたき】であります。 往昔【むかし】大宮人【おおみやびと】や善男善女【ぜんなんぜんにょ】は此【こ】の瀧【たき】に身【み】を清【きよ】めて、大親寺【だいしんじ】(国家鎮護の寺【こっかちんごのてら】へ参拝【さんぱい】せられていました。皆様【みなさま】も是非一度【ぜひいちど】奥の院【おくのいん】へ御参拝【ごさんぱい】下【くだ】さい。
  これより左【ひだり】へ四丁【ちょう】上【あ】がる(三00m)
    奥の院 大和桃尾山 大親寺



祭祀空間




祭祀1 祭祀2

写真右
中央の石も、右側の不動明王と同様に、榊が供えられお祀りされている。(周辺には、同じ様に祀られた石が沢山あった。)

写真左
上部には「南無妙法蓮華経」と書かれている。
その下には十二の神名。
三輪白龍大神 穴倉大善神 妙白善神 花姫辨才天
千石龍王 善世龍王 大地主大山龍王 大雲権現
白龍大善神 滝巻龍王 紫雲龍王 八大龍王

八大龍王は、伊賀市阿保の龍神の杜、桜井市茅原【ちわら】の龍神神社でもお祀りされていた。
『法華経』第一序品に八大龍王が出てくるという。

八大龍王
雲を起こし雨を降らせる神力を持ち、雷電や河海をもつかさどると信じられている。古来、日照りに雨乞いをする農耕生活者の有力な神であった。
法華経第一序品に出ており、以下の八種の大龍王をいう。
難陀【なんだ】龍王 : 御法龍王の上長で、跋難陀龍王の兄弟
跋難陀【ばつなんだ】龍王
娑羯羅【しゃがら】龍王(娑伽羅とも書かれる) : 雨乞いの本尊
和修吉【わしゅきつ】龍王 : 多頭の竜
徳叉迦【とくしゃか】龍王 : 多舌で視線に毒があり、怒って凝視すれば人畜は絶命するという。
阿那婆達多【あなばだった】龍王 : 馬形の竜
摩那斯【まなし】龍王 : ヒキガエルの形の竜の王で、徳が優れていると伝えられる。
優鉢羅【うはつら】龍王

以上「世界大百科事典」(平凡社)によります。




磐座の様な石組
(写真A)注連縄の背後に巨大な岩(奥に桃尾の滝)
祭祀3
(写真C)「(写真B)」の祠部をアップ



磐座の様な石組

(写真B)「(写真A)」の右側の道を廻り込む
岩の上に小さな祠が見える。




桃尾の滝と祭祀4

滝の近くにも「南無妙法蓮華経」と書かれた碑が建つ




掲示
大国見登山コース
 大国見(国見山)は標高500メートル。ピラミッド型の美しい山容を誇る。頂上付近には、磐座のあとと思われる巨石が点在し、山頂には御山大神と刻まれた石と小さな祠が祀られている。眼下には天理市街と奈良盆地が開け、生駒山から奈良奥山方面、遠くは木津川まで一望できる展望を楽しむことができる。
 ここ桃尾の滝は、布留の滝とも呼ばれ、古くから行場として知られ、古今和歌集にも詠まれており、紅葉の頃が美しい。このあたりは和銅年間(奈良時代初期)義渕僧正によって開かれた龍福寺の境内地で、その後、百年ほどを経て弘法大師空海が精舎を興し、真言密教の大道場にしたと伝えられている。明治になって廃絶したが、かつての阿弥陀堂跡には、現在報親教大親寺の堂が建ち、点々と残る堂塔跡の苔むした石垣に往古の面影をしのぶことができる。




不動三尊摩崖仏

不動三尊摩崖仏。鎌倉時代中期の作という。(Wikipediaより)
如意輪観音像

如意輪観音。南北朝前期の作という。
(Wikipediaより)

滝があり、神仏混淆する空間、掲示には修験道という文字は無いが、この場所は修験道の道場だったのでしょう。



神社の地図 ←地図  戻る

写真:2012.02、2007.08撮影
home   作成:2018.02.16